昨年度に構築した最小木による2次元配列構造の解析ツールを用いて急速凝固した試料表面の核発生点の配列構造を解析した。ここでは、Al-2mass%Cu合金およびNi-10mass%Cu合金の試料をレビテーション溶解装置によりアルゴン雰囲気下で溶解し、所定の温度でコイルの下に設置した銅チル板上へ自由落下させ、急速凝固させた。この試料表面をノマルスキー微分干渉顕微鏡で観察し、試料表面の核発生点の座標を読み取った。このようにして得た核発生点分布に対し最小木を生成し、規格化平均値と分散を求め、その規則性を検討した。その結果、Al-2mass%Cu合金では加熱度が小さい場合には核発生点の分布は規則性を持ち、その配列は溶湯の流動方向に周期性を持つこと、加熱度の増加につれ規則性は減少し配列はランダムになること、さらに加熱度が大きくなると複数の核が同時発生する凝集分布の特徴を呈することが分かった。また、Ni-10mass%Cu合金の場合にも同様の規則性の変化が見られた。これらの結果から材料組織の空間分布構造の解析に対する最小木の有効性が確認できた。
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