研究概要 |
スラグが関与する物質移動反応の解明には、関連したスラグの拡散係数や粘度などの物性値が必要である。本研究では、比較的測定可能な粘度範囲が広い外円筒回転式の粘度測定装置を作製するとともに、自作した装置の高温における検定を目的として、比較的底融点であるB_2O_3-Na_2O-SiO_2系融体の粘度測定を行った。この系は、従来実用上の観点から高SiO_2含有領域に関する研究は報告されているものの、高B_2O_3含有領域における系統的な研究は少ないため、本研究では高B_2O_3含有領域を中心とした粘度測定を行った. 室温で標準試料(粘度の異なるシリコーンオイル)を用いて、装置定数に及ぼす各種因子(懸垂線の材質,長さ,直径,るつぼの形状,るつぼの回転数など)の影響を調べ,最適測定条件の確立を行った。その結果、溶融スラグ・フラックスの広範囲な粘度範囲(10^<-2>〜10^2Pa・s)での測定が十分可能であることがわかった。 B_2O_3-Na_2O-SiO_2系融体の粘度測定を行い、従来の報告値と比較検討した。その結果、高温での測定の再現性も良く、溶融スラグ・フラックスの粘度の測定温度域である1000〜1600℃でも測定が十分可能であることがわかった。 B_2O_3-Na_2O-SiO_2三元系の等粘度曲線および[BO_3]-Na_2O-[SiO_2+BO_4]擬三元系の等粘度曲線を作製した。これらの結果から、B_2O_3はB_2O_3濃度が高い領域では酸性的な挙動をし、B_2O_3濃度が低い領域では塩基性的な挙動をするものと推定された。
|