まず、FeC1_2粉体の投入装置を改造した。この装置を用いて、0.5%程度のCuを含有する溶鋼に、濃度を制御した微量の酸素を含有する窒素ガスをキャリアとして、FeC1_2粉体を一定投入速度でインジェクションした。その結果、反応速度は銅濃度に対する見かけの一次反応として整理ができる事が明かとなり、その反応速度定数を求める事ができた。また、酸素分圧をパラメータとして反応速度を測定したところ、酸素分圧を上昇させると初めのうちは反応速度が上昇するが、やがて酸素分圧上昇と共に反応速度は遅くなり、最適酸素分圧の存在することが明らかとなった。 以上で銅が除去できることは確認できたが、気化したFeC1_2の濃度が、キャリアガスとして用いる窒素で希釈されるため、反応速度が遅くなる恐れがあった。そこで、キャリアガスにFeC1_2粉体を載せて供給する方法ではなく、プランジャにFeC1_2粉体を充填し、溶鉄中に投入する方法に変えることにした。このため、装置の一部を改良した。プランジャ中にFeC1_2粉体とFe_2O_3とを充填し、脱銅反応速度およびその反応速度におよぼすFeC1_2とFe_2O_3の混合比の効果をしらべた。その結果、反応速度は銅濃度に対する見かけの一次反応として整理ができる事がわかったが、見かけの反応速度定数は、期待したほど大きくはならなかった。 FeC1_2とFe_2O_3の混合比の見かけの反応速度定数におよぼす影響は、酸素ガスで調べた時と同様に最適値のある事が分かった。
|