☆初年度(平成6年度)では以下のような研究成果を得た。 すなわち、紛体特性のことなる2種類の粉末種(熱伝導性に優れた炭化ケイ素と磁性を有するマグネタイト)について、親水性および親油性を調製するためにカップリング剤による表面処理を実施し、処理度合いと液・液系に対する親和性を評価した。具体的には、液・液界面に対する接触角を測定することにより評価した。その結果、表面処理の度合いにより、懸濁重合時において安定剤としての働きを呈し、かつ、重合終了時にはポリマー表面を被覆した状態で付着層を構成するプロセスを制御できることを明らかにした。 この結果は固体微粉末に対して、被覆型傾斜機能を発現させるための基本的な知見であり、本研究を達成するためには不可欠である。 ☆次年度(平成7年度)では以下のような研究成果を得た。 すなわち、種々の度合いに表面処理された2種類の固体微粉末を懸濁重合系に添加する操作において、処理度合いと添加時期(重合率)に最適値が存在することが明らかにされた。親油性の度合いが強い固体微粉末を重合後期に添加すると重合系は集塊を生じ、良好な被覆型複合体粒子が生成されないこと、また、重合初期に添加すると、多層膜状態で付着層を形成すること、等が明らかにされた。 これらの知見に基づいて、両固体微粉末の添加量、添加時期、表面処理の度合いを適切に選択することにより傾斜機能複合体微粒子が生成できることを明らかにした。被覆型や傾斜機能については、ポリマー粒子表面の元素分析と電子顕微鏡観察により確認した。
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