研究課題/領域番号 |
06650859
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中西 一弘 岡山大学, 工学部, 教授 (90026584)
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研究分担者 |
田中 孝明 岡山大学, 工学部, 助手 (00217043)
崎山 高明 岡山大学, 工学部, 講師 (70170628)
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キーワード | タンパク質付着 / β-ラクトグロブリン / 洗浄 / 汚れ成分 / 酵素洗浄 |
研究概要 |
食品製造工程やバイオプロセスにおいては、必ず装置表面に付着残存する汚れ成分を除去するための洗浄操作が実施されている。本研究では、洗浄操作の最適化を最終目的として、その基礎となる溶質のステンレス表面への付着・脱離現象の解明を行った。モデル汚れ成分として、β-ラクトグロブリンを取り上げた。溶質の付着特性と洗浄特性を精度よく調べるために、比表面積の大きなステンレス微粒子を用いた。タンパク質の付着量に及ぼす、付着時間、pH、温度、蛋白濃度の影響を調べた。温度が50℃以下では、その最大付着量は単分子層が形成される量にほぼ一致したが、β-ラクトグロブリンの変性温度である65℃前後から急激に増加し、単分子層の数倍程度となった。付着量はpHに強く依存した。β-ラクトグロブリンの等電点である5.1以下では付着量は急激に増加したが、これは負に帯電しているステンレス表面と正に帯電しているタンパク質との間の静電的相互作用によるものであることが判明した。また、未変性タンパク、予め変性したタンパク、及びSH基を修飾したタンパク質を用いて吸着実験を行った結果、β-ラクトグロブリンは、静電気的相互作用、及び疎水結合によりステンレス表面に付着し、その後タンパク質間でS-S結合の形成や交換反応により付着が進行することが明らかになった。 洗浄特性に関しては、申請者らが開発した汚れの付着したステンレス粒子充填カラムを用いるステップ応答法を用いた。アルカリ洗浄と、プロテアーゼを用いる酵素洗浄に着目して比較検討した。酵素法では、アルカリ洗浄に比較してより低いpHで、洗浄が可能であり、しかも残存付着量も少ないことが判明した。また、アルカリ洗浄ではタンパク分子、あるいはその凝集体の形で、一方、酵素洗浄では分解ペプチドの形で、表面から脱離することが示唆された。
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