サンドミルは媒体撹拌型の湿式粉砕機の一種であり、工業的に広く利用されている。最近、超微粒子の製造技術に対する関心が各産業界で急激に高まったいる中、その機種も堅型から横型のものが主流となるなど、サンドミルの超微粉砕能力を向上させるための改良がなされている。このようなサンドミルの改良では、羽根先端速度を増加させれば粉砕能力が向上する事は知られている。しかし、高純度の超微粉製造に対応するには、そのために引き起こされるメディア粒子(粉砕媒体)や羽根の摩耗によるコンタミネーションを解決せねばならない。そこで羽根先端速度を減じて摩耗を抑え、かつ粉砕能力が優れた低速型サンドミルの開発が望まれている。そのためには、ミル内メディア粒子の挙動を定量的に捉え、その挙動に関連づけて粉砕機構を解明することが重要である。 そこで本年度は、内羽根と外筒がそれぞれ独立に回転する横型サンドミルにおいて、メディア粒子の挙動を可視化する計測技術をオリジナルに開発した。その技術を用いることにより、ミル内メディア粒子の速度分布と速度変動強度及び出現頻度分布の測定を可能にした。両方の回転方式で得られたメディア粒子の流動特性に関連づけて、アルミビーズを用いた炭酸カルシウム微粒子の粉砕特性を考察した。その結果、内羽根だけが回転する場合及び内羽根と外筒が逆方向に回転する場合の両方について得られた50%粒子径は、従来の速度変動強度だけでうまく相関できず、それに出現頻度をかけた重み付き速度変動強度で良好に相関できることを見いだした。
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