超臨界水中でのポリエチレンの分解を行い、反応速度、生成物について水、酸素の有無による違いを評価することで、ポリエチレンの高速分解および生成物制御の手法を検討した。 ポリエチレンの分解実験には、Tube Bomb Reactorを用いた。まず、ポリエチレンのアルゴン中での熱分解実験を行った。分解に要する時間は、400℃では10〜15時間、450℃では1〜1.5時間、500℃では5分であったが、高温で分解を行うほどチャーの生成が多かった。次に、水を共要する時間はアルゴン中とほとんど変わらなかったが、チャー生成が抑制された。そこで400℃において水に対し酸素を2mol%共存させ、またポリエチレンをSUS製金網にコーティングと外部表面積を大きくして実験を行った。その結果、反応速度は比表面積の増大とともに大きくなり、ポリエチレンを粒径0.1mm程度に十分に分散させると、400℃においても反応時間5分程度で分解可能なことが分かった。また比表面積が大きい場合の反応速度は、熱分解速度の20倍以上となっており、ポリエチレン表面で水、酸素と接触することによって生じる反応が支配的であることが分かった。表面での反応を支配的とした場合の生成物を水の有無で比較すると、水を共存させた場合には、チャーの生成が抑制されるだけでなく、ガスの生成も抑制され、オイル分および水溶性成分の収率が増大した。水を共存させた場合の生成物のうち、水溶性成分は主としてアルコールやカルボン酸であり、またオイル分にもアルコール、アルデヒド等が含まれており、化学原料として極めて有用な生成物を回収できることが分かった。
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