低温プラズマ重合による製膜法は、薄膜が作製されることが知られている。また、通常の重合法に比べはるかに高い励起エネルギーが投入されるため、通常不活性なモノマーからも重合物が生成できるという特徴を持っている。そこで本研究では、この低温プラズマ重合の特徴を生かして、カルボキシル基又はスルホン酸基を有する荷電膜を作製し、その膜の物性評価を行った。 得られた膜の含水率、グラフト量、イオン交換容量、膜電導度及び膜輸率の測定を行い、製膜した膜を評価した。 膜電導度の値は、Nafion117の場合のみ電位ステップ法による測定結果を用い(極板間距離変化法では精度が低い為)、その他は極板間距離変化法の測定結果を用いた。アクリル酸をグラフトした膜は、CG、HPいずれを基材とした場合にも高い含水率、高い電導度を示した。このことより、CG、HPの膜の内部組成が重合により変化し、特にHPは電導度の高さから、孔径が非常に大きくなってしまったのではないかと考えられる。また、HP1ではグラフト量がマイナスの値となったが、これはアクリル酸がグラフトする際、基材の重量欠損が起きるということが考えられる。HPで作製した膜が、膜の組成変化とあわせて機械的強度が小さいということが分かった。 スルフォン酸をグラフトした膜は、カチオンの高い輸率を与えたが電導度がかなり低くなった。これらの膜のイオン交換容量は低くないことから、これは膜内の架橋構造が密になり、イオンの移動しにくい構造となった為と考えられる。
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