研究概要 |
プラズマグラフト重合によるアクリル酸及びスルフォン酸基を有する荷電膜を合成した。アクリル酸荷電膜は、溶液結合型外部電極プラズマ装置を用いて、ポリプロピレン微多孔フィルム(CG)及びポリエチレン微多孔フィルム(HP)を基材として気相プラズマ処理と溶液後重合によりグラフト膜を得た。フッ素系荷電膜は、ベルジャー型内部電極プラズマ装置を用いて、基材両面にトリフルオロメタンスルフォン酸とヘキサフルオロプロピレンを気相プラズマ処理し、グラフト膜を得た。重合時間、重合圧力などの操作条件による荷電膜の特性、グラフト率、イオン交換容量、膜伝導度、カチオン輸率に与える影響を実験から検討した。溶液結合型外部電極プラズマ装置でアクリル酸グラフト膜を製膜する際、HPを基材として用いた場合、膜の含水率は増大し、荷電密度は低く、十分な機械的強度も得られなかったが、CGを基材としたときには膜の膨潤はあるものの、高い荷電密度を持つ膜が作成できた。CGを基材とするグラフト時間180minのグラフト膜は、NaCl水溶液濃度0.2M以下で陽イオン輸率が0.95以上となった。ベルジャー型内部電極プラズマ装置によるTFMAとHFPによる低温プラズマ重合法で、市販膜であるNafion-117膜より実効抵抗が低く,Nafion-117膜に匹敵するイオン交換容量、陽イオン輸率を持つフッ素系スルフォン酸荷電膜を作成することができた。
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