濾過ケ-クの部分濾過特性値を圧縮圧力の関数として得ることは、これを用い濾過理論に従って種々の濾過形式・濾過条件の場合の総括的な濾過特性値が正しく推定出来ることから、実用上も要求度の高い事柄である。しかしながら、現在この目的のために行われている、いわゆる圧縮透過実験は、長時間と高熱練度が要求される実験で、、また精度の高い値を得るためには考慮すべき事項も多く、研究の場以外で普及しているとは言い難い状況である。工業の現場で広く行われている最も簡単な総括的な濾過テストの結果から、ケ-クの部分特性値を推算する手法を確立することができるならば、濾過器のスケールアップや濾過プロセスの設計等々において、工業的な応用が大いに期待できる。 1.本年度の実験計画に従って、 (1)中程度の圧縮性スラリーについて、圧縮透過実験を行い圧縮透過特性を実測した。 (2)同スラリーの定圧濾過実験を行って定圧濾過特性値(総括的な値の実測値)を求めるとともに、濾過理論に従って圧縮透過特性を推定した。 (3)上記(1)、(2)を用いて、濾過ケ-クの総括的な濾過特性(総括的な値の推定計算値)を数値計算法によって理論的に求め、実測値と比較したところ、(2)からの推定値が実験結果をよく再現した。 2.以上の結果は当初予期しなかった結果であり、さらに一般性を高めるために次年度以降、次の実験と計算が必要であることがわかった。 (1)液圧分布の測定値と計算結果を比較し、推定の妥当性を検討する。 (2)圧縮性の高いケ-クについて、同様の実験を行う。 (3)圧縮圧力の低い範囲の圧縮透過特性の推定法と、それらが全体の計算結果に及ぼす効果について知見を得る必要がある。
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