研究概要 |
半導体微粒子懸濁光反応器の設計指針を提供するために,二酸化チタン光触媒によるNADHの光酸化反応を例にとって,反応速度と照度から検討した。 (1)NADHの光酸化反応に関しては,主波長が366nmのケミカルランプを光源とし,角型反応器を用いて二酸化チタン濃度とNADH初濃度との関係を求めた。その結果,NADHの光酸化反応速度は、光照射に伴って二酸化チタン表面に生成するOHラジカルと反応物との相対的な濃度に依存することがわかった。さらに,アナターゼ型とルチル型の二酸化チタンを用い,その混合割合を変えて実験したところ,反応性の向上は認められなかった。 (2)二酸化チタン微粒子を懸濁した光反応器内の照度に関しては,反応器内部の情報を得るため新たに試作したフォトプローブを用いて,角型反応器内の照度分布を測定した。 その結果,照度は二酸化チタン濃度に大きく依存することがわかった。,特に,反応器入り口付近では二酸化チタンを含まないときの照度よりも大きくなるということが明らかになった。なお,現在今年度購入した懸濁計による濁度の測定結果とともに照度を推算するためのモデルについて検討しているところである。 今後,さらにデータを蓄積し,光触媒懸濁光反応器を設計するための指針を提供したいと考えている。
|