研究概要 |
半導体微粒子を懸濁した光触媒反応器の設計に関する情報を提供することを目的として,NADHの光分解反応と光反応器内の照度の観点から検討を加えた。その結果,次のことが明らかになった。 1.NADHの光分解反応に関しては,光触媒量とNADH初濃度の反応速度の及ぼす影響について検討した。その結果,光触媒量とNADH初濃度に関しては,これらの相対的な濃度が反応に大きく影響を及ぼしていることが明らかになった。また,結晶構造の異なる2種類の二酸化チタンを用い,その混合割合を変えて同様の実験を行ったところ,活性の劣るルチル型二酸化チタンによる光吸収による影響が大きく,反応速度は低下することが明らかになった。 光反応器内の照度に関しては,昨年度測定した角型反応器内のデータをもとに,従来の2光束モデルを拡張した3次元6光束モデルを新たに提案し,解析を行った。その結果,一つのパラメータを用いて光反応器内の照度を推算できることがわかった。 以上の2点は,取り扱いが比較的簡単な角型反応器を用いた結果である。しかし,工業的に用いることが多い浸漬型光反応器を用いた解析に関しては,現象が複雑で現在のところ反応器内照度に関する情報を提供できるだけである。 今後,研究を重ね,半導体微粒子を懸濁した光触媒反応器の設計に関するより詳細な情報を提供してきたいと考えている。
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