研究概要 |
カルウム金属を液体アンモニアに溶解させ、酸化鉄を用いてKNH_2とした。このアンモニア溶液から含浸法によってAI_2O_3に担持した触媒を調製した。以後KNH_2/AI_2O_3と略記する。300℃で排気したKNH_2/AI_2O_3は超強塩基触媒して作用することを見い出した。この触媒を用いると反応物質の極めて高いpkaをもつ水素をプロトンとして引き、カルバニオンを経由する反応が室温又はそれ以下の温度で容易に進行する。例えば、α位の水素のpkaが32である2,3-ヂメチル-1-ブテンから2,3-ヂメチル-2-ブテンへの異性化反応は極めて速やかに反応するが進行っする。即ち、-72℃、30分で殆ど反応が平衡に達し、収率は94%であった。更に、5ビニルビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エンから5-エチリデンジシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エンへの異性化反応では40℃、1時間で収率99%を示した。更に、N-3,7-ジエチルオクター2,6-ジエニルジエチルアミンからN-(3,1-ジメチルオクター1,3-ジエチル)ジエチルアミンへの異性化反応においても、同じ反応条件下で96%の収率であった。これらの反応にはユウロピウムやイッテルビウムの希土類金属を液体アンモニアに溶解して、含浸法によってAI_2O_3に担持した触媒も上記反応に対して、活性はKNH_2/AI_2O_3よりも低いものの室温付近で有効な触媒であった。 KNH_2/AI_2O_3はpkaが37であるトルエンのプロピレンによる側鎖アルキル化反応にも有効であった。160℃で4時間反応を行うと、12.5%の収率でブリルベンゼンが生成した。 KNH_2をSiO_2,TiO_2,ゼオライトなどに担持した触媒は殆ど上記反応に活性を示さない。AI_2O_3だけが特異的である。KNH_2/AI_2O_3の活性は排気温度に強く影響を受けた。赤外分光法及び昇温脱離法によって、アンモニアが配位していないKNH_2が固体超強塩として作用していることが明らかとなった。
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