イソブタンの酸化的脱水素反応について調べ、ピロリン酸ニッケル触媒が活性が高く、イソブテンへの選択率が80%以上にもなることを見出している。最近この触媒が調製法によって、活性選択率が著しく変化することを見出した。高活性触媒のためばかりでなく、機能を調べる上でも一定の活性、選択性をもつ触媒を調製する必要がある。調製原料の硝酸ニッケル水溶液をピロリン酸ナトリウム水溶液に滴下して調製した触媒の方が滴下順序を逆にして調製した触媒よりも活性が低いことがわかった。後者の方法で調製したNi_2P_2O_7の沈澱を洗浄することなく乾燥、焼成した触媒は活性が著しく低く、沈澱を十分に洗浄した触媒では活性は高いが、イソブテンの選択率が50〜60%へ低下し、イソブタンからメタン+プロピレンへの酸化分解反応が30%くらいの選択率で進行した。洗浄を行わなかった触媒の活性の低下原因について調べるため上記のよく洗浄した触媒上に触媒調製原料のピロリン酸ナトリウムを担持した触媒、及びもう一つの触媒調製原料である硝酸ニッケルを担持し、焼成した触媒を調製したところ、ピロリン酸ナトリウムを担持した触媒では活性が著しく低下した。逆にNiOを担持した触媒ではCO、CO_2への酸化分解反応が促進された。 これよりNi_2P_2O_7を担持した触媒では触媒の酸性質が失われ活性が低下すること、NiOが共存するとNiOが触媒作用によりNi_2P_2O_7がバルクまで還元されてしまうことがわかった。従って、Ni_2P_2O_7をよく洗浄し、これにブタンをメタン+プロピレンに分解しない助触媒を担持することにより高活性、高選択性触媒が開発できることがわかった。
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