(1)アミン系シランカップリング剤でシリカ表面を化学修飾し、これに各種ヘテロポリアニオンを分散固定化した。その際、12-タングストリン酸(PW12)では酸点が抑制されるためにメタノール酸化活性は完全に消失した。但し、加熱処理でアミン官能基を分解除去すると酸点は回復し、100%近い選択率でヂメチルエーテルが得られた。12-モリブデン酸(PMo12)では酸点(ヂメチルエーテル活性)およびredox点(フォルムアルデヒド活性)は共に残りシラン剤修飾効果は認められなかった。一方、14-バナドリン酸(PV14)に関しては、修飾シリカ上では90%を越える高いフォルムアルデヒド選択性が得られたが、シリカ上へ直接導入する際にはその選択性は30-40%と低い値となった。修飾シリカ上のこの高い選択性はPV14が極めて均一に分散担持され、しかもその酸点が適度に抑制され、redox点のみの性質が発現されたためと考えられる。 (2)この高分散PV14触媒上ではエタノール、プロパノール、ブタノールなどの1級アルコールの酸化は起こらず、すべてオレフィンとなった。これにPdを分子比、(Pd)/(PV14)、0.5-2.0の割合で混合固定していくと、(Pd)/(PV14)が1.0以上で明かな隣接固定化の効果が認められた。このPd隣接効果には反応温度の寄与も大きく、高温程、酸塩基反応(オレフィン生成)に対し、酸化反応(アルデヒド生成)選択性は有利となった。(Pd)/(PV14)=2の触媒系では260℃以上で酸化分解が更に進んだH.C.生成物が得られた。現在、本触媒を実際のワッカー反応系、オレフィンの酸化に適用してその触媒性能を検討している所である。また、Pd-PV14間の相互作用の様子をFT-IR、ESR、XPS分光法で調べている。
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