研究概要 |
各種担体(SiO2,TiO2,Al2O3など)をアミン系シランカップリング剤で化学修飾し、その官能基のイオン交換能を利用して、Pdとヘテロポリ酸(HPA)を隣接固定化することを試みている。HPAとして14-バナドリン酸を用いてPdとの共同固定化を調べたところ、(Pd)(PV14)=2の触媒系ではテスト反応であるアルコール類(例えば、2-プロパノール)の酸化に対しては高いアセトン収率が得られ、その有効性が確認された。しかし、オレフィン類の酸化にはその効果を認めるに至っていない。その理由として、シラン剤の官能基を種々変えて試みたところ、優先的に固定化されたPdを分子サイズの大きなPV14アニオンが上から覆うために、Pdの酸化作用が抑制されたものと考えられる。現在尚、相性のよいHPA系の探索をつづけている。 その間に、シラン剤修飾シリカ上でのPW12およびPMo12との相互作用について、FT-IRおよびXPS法を適用して詳しく検討した所、HPAはアミノ基との酸-塩基相互作用を通して単分子層近くまで均一に分散固定されることを認めた。また、PMo12に関しては、とくにESR分析により、表面アニリノ基との電子移行相互作用が認められた。このような更に強固な相互作用を通じて、PMo12の酸化状態の制御が可能となり、イソ酪酸の酸化的脱水素反応においてメタクリル酸への高い選択率を示す担持HPA触媒の調製に成功した。
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