研究概要 |
1.エチレングリコールジグリシジルエーテル(1)、トリメチレングリコールジグリシジルエーテル(2)、2,2′-ジメチル-1,3-プロパンジオールジグリシジルエーテル(3)、ヒドロキノンジグリシジルエーテル(4)およびN-ドデカノイルジエタノールアミンジグリシジルエーテル(5)を疎水基のドデシル基と親水基のスルホン基の連結ブロックとする5種類のビス(スルホン酸塩)型界面活性剤、エチレングリコールジグリシジルエーテルをドデシル基との連結ブロックとする二鎖ビス(カルボン酸塩)型界面活性剤(6)および二鎖ビス(硫酸塩)型界面活性剤(7)、そして2,2-ジドデシル-1,3-プロパンジオールから得られる二鎖ビス(カルボン酸塩)型界面活性剤(8)を合成単離することに成功した。これら多鎖二親水基型界面活性剤のミセル動電クロマトグラフィー(MEKC)用ミセル形成試薬としての評価を行った。 2.上記8種類の界面活性剤を用いて8種類のナフタレン誘導体のMEKC分離を行ったところ、5では1-ナフトールと1-ニトロナフタレンの分離が行えなかったが、これ以外の界面活性剤で8種類のナフタレン誘導体の完全分離が可能であった。なお、ビス(スルホン酸塩)およびビス(硫酸塩)型界面活性剤では溶質の溶出順序は同じであったが、ビス(カルボン酸塩)型界面活性剤6および8では溶出順序が一部異なる結果となった。 一方、MEKCで多用されている一鎖一親水基型界面活性剤である硫酸ドデシルナトリウム(SDS)と比べ、1〜8はかなり低い濃度で同等以上の分離が達成でき、分離の選択性も顕著に異なることが判明した。 3.SDSでは完全分離が行えない5種類のフラボン誘導体のMEKC分離を行ったところ、4、5および6とも5.0×10^<-3>M濃度で完全分離が可能であった。さらに、ナフタレン誘導体の場合と同様にSDSとは異なる溶出順序を示した。 4.以上、多鎖二親水基型界面活性剤はSDSとは異なる選択性と優れた分離能を示すことがわかった。
|