合金電極/溶液界面における吸着現象の計測システムを開発し、とくに歯科用合金電極における微量吸着状態の解析を目的に、本研究に着手した。 1.ボルタンメトリー 8種類の歯科用合金を作用電極に用いて、人口唾液中でボルタンメトリーを行った。その結果、-0.7〜0.1Vvs.SCEの電位範囲ではほぼ安定な合金表面を維持していることが明かとなった。微量の複方ヨードグリセリンが存在するとき、貴金属電極で得たボルタモグラム上、-0.25Vより正電位側では酸化電流が現れ、これは合金成分の銅および銀のヨウ化物が生成するためと考察できた。主要購入設備のポテンショスタットとXYレコーダはこのために使用した。 2.光反射法 ボルタンメトリーと同時に電極表面の光反射率変化を測定した。微量の複方ヨードグリセリンが存在するとき、貴金属合金電極の-0.25Vより0.1Vの電位範囲で、1〜数層のヨウ化銅およびヨウ化銀の表面層が生じていることが分かった。卑金属合金電極の場合には、表面層の形成は認められなかったが、合金表面から微量の金属イオンが溶出することが分かった。 3.In situ 電気化学水晶発振子マイクロバランス法 主要購入設備のEQCMコントローラを用いて、まず電気化学水晶発振子マイクロバランス測定装置を構成した。つぎに、本法により、貴金属合金成分に含まれる金へのヨウ化物イオンの特異吸着を明かにした。
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