研究概要 |
研究代表者らは、従来よりリン酸ジルコニウム骨格を持つ多価陽イオン導電性固体電解質を系統的に研究してきた。本年度は昨年度に引き続きMgZr_4(PO_4)_6;[MgZrPO]のZrの一部をTiで置換した系MgTi_XZr_<4-X>(PO_4)_6;[MgTiZrPO]の導電率および結晶構造等の諸物性を測定し、また光架橋性高分子と2価の塩とからなる高分子固体電解質を検討した。MgTiZrPOはTi置換で導電率は上昇し、X=0.5で全測定温度範囲で最大値(900℃で2.44×10^<-3>Scm^<-1>)を示した。更に置換が進むと導電率は低下した。低温域(<650℃)ではXの増加とともに低下したが、高温域では(【greater than or equal】800℃)ではX=2.0でいったん最小値を示した後、X=3.0,4.0では再び上昇した。粉末X線回折から、Ti=0のMgZrPO(単斜晶系)とTi=4.0のMgTi_4(PO_4)_6(六方晶系)の他に、Ti=2.0付近に立方晶系の別の相が存在する事がわかった。この相は低導電性を示す中間化合物である。最高の導電率を示したX=0.5の組成物ではMgZrPOとTi=2.0の混合相であり、単一相ではなかった。MgTiZrPO[X=0.5]を電解質に、炭酸塩を活物質に用いた起電力(EMF)型Pt||Pt型センサーはNernst勾配がかなり小さく、反応電子数がn=4〜16とかなりばらついたが、Au||Pt型センサーは5分応答値でn=2.3〜5(>400℃)であった。高分子固体電解質はエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジアクリレートとZnX_2(X=Br,I)に重合開始剤のDarocurを種々の割合で混合し紫外線を照射して固体電解質化した。ZnBr_2の含有量5mol%の導電率は20℃で4×10^<-5>Scm^<-1>、ZnI_25mol%は20℃で3×10^<-5>Scm^<-1>であった。
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