研究概要 |
本年度はセラミック気体分離膜を取り付けた燃料電池の構成要素として、気体分離膜とメタノール改質触媒の活性向上について検討を行った。水素を選択的に透過する気体分離膜としてRu,Rh,Ptなどの金属微粒子を分散した多孔質アルミナ膜を開発した。金属分散アルミナ膜は大量の水素を表面に吸着し、しかも表面拡散による高い水素の選択透過能を示すことが明らかになった。また窒素など他のガスに対してはKnudsen拡散から予想される程度の低いガス透過能しか示さなかった、しかも400℃程度の加熱により水素透過の選択性は著しく向上する。水素は金属分散アルミナ上に活性化吸着し、金属から担体表面へのスピルオーバーが高温で促進されることがわかった。本研究の目的である昇温下での混合ガスからの燃料である水素の分離に有効であることが示された。高温で燃料電池に水素ガスを供給するためのメタノール改質反応の触媒についても検討を行ったところ。Cu/Al_2O_3触媒を900℃の高温で焼成した場合はスピネルが生成し、メタノール改質反応に対して高い活性を示した。またアンモニア沈着法で得たCu/Al_2O_3触媒については高温処理することなく500℃で焼成したものでも高い活性を示した。また水蒸気による経時劣化に対しても高い耐久性を示した。このように本年度の研究で水素選択分離膜と高活性なメタノール改質触媒が得られたので、次年度で燃料電池と組み合わせて発電実験を行う予定である。
|