研究概要 |
1 遷移金属アート錯体の還元能を利用する有機金属試薬の直接生成と反応 前年度に銅アート錯体を還元剤として用いる選択的な銅試薬の直接生成反応を見つけ,これらの親電子試薬との反応が有機合成に有用であることを明らかにした.今年度はマンガンアート錯体がα位に脱離基を有するケトンおよびエステル類に対して2電子還元剤として作用し,母体のケトンやエステルのエノラートを効率よく生成することを見つけた.(投稿準備中) 2 シリカートの反応性を利用する有機合成 これまであまり知られていないアルコキシヒドロシリカートの反応性を明らかにし,エポキシケント類の還元反応において溶媒を変えるだけでerythroおよびthreo体が作り分けられることを見つけた.(Tetrahedron Lett. 1995,36,571.)またアルコキシビニルシリカート類を用いるクロスカップリング反応に関してもその特徴を明らかにした.(Bull. Soc. Chim. Fr. 1995,132,499.)アリルシランの一種であるアレニルメチルシランがエン反応を起こすこと明らかにした.(J. Organometal. Chem. 1995,499,155.) 3新規非安定化カルボニルイリドの生成と反応 サマリウムの関与する反応活性種として新規なカルボニルイリドの発生反応を見つけた.さらに発生するカルボニルイトリドはこれまで生成例のないアルキル基のみが置換した非安定化カルボニルイリドである.これらは反応に際して高い反応性および選択性を示すことを明らかにした.(J. Am. Chem, Soc. 1996,118,in press.)また,ケイ素化合物を前駆体とするアリール置換カルボニルイリドの反応性についても明らかにした.(Synlett, 1996,in press. )
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