研究分担者 |
内田 秀和 埼玉大学, 工学部, 助手 (60223559)
太刀川 達也 埼玉大学, 工学部, 助手 (20251142)
宮下 晃 埼玉大学, 工学部, 教授 (90132729)
中山 重蔵 埼玉大学, 理学部, 教授 (90092022)
勝部 昭明 埼玉大学, 工学部, 教授 (70008879)
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研究概要 |
熱的な閉環により蛍光性物質を生成する反応は種々あるが,有機EL素子の作成に適用された例は皆無である.本研究では,5環系の縮合多環芳香族化合物であるベンゾアントロンの2量体3,3'-ジベンゾアントロニル(I)が容易に熱閉環してビオラントロン(II)(II環系化合物)に変化することに着目して新しい型のEL素子を開発するための基礎研究を行った.その結果,以下のことを明らかにした. ・閉環体(II)の蒸着膜は蛍光を示さないが,溶液では蛍光を示す. ・3,3'-ジベンゾアントロニル(I)のみを用いて真空蒸着を行うと,原料(I)と閉環体(II)のいずれもの蛍光を示す薄膜が得られる. ・上記において,(I)と(II)の蛍光の強度比を,蒸着条件により変化させることができる. この蒸着膜を用いてEL素子を作成すると,(II)の赤色発光を顕著に示すものから,(I)の発光等との混色により白色を呈するものまで,種々の色調の素子を得ることができる. 上記とは別に,電荷輸送層材料の諸性質を計算化学的手法で予測するための基礎的な知見も得た. 以上により,単一の蒸着源を用いて新しいドープ型発光層を構築するとともに,これらと組み合わせてEL素子を構成する電荷輸送層材料の分子設計における指導原理を明らかにすることができた.
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