研究課題/領域番号 |
06650995
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
嶋田 和明 岩手大学, 工学部, 助教授 (10142887)
|
研究分担者 |
滝川 雄治 岩手大学, 工学部, 教授 (00003848)
|
キーワード | 大環状化合物 / Xeniaジテルペノイド / 分子内閉環反応 / 光学活性セレノキシド / 立体保護 / 2-フェニルセレノ酢酸エステル / アリルシラン / プンメラ-型アリル化反応 |
研究概要 |
本研究はXenicinに代表されるXeniaジテルペノイドを生合成類似の経路で位置・立体選択的に合成することを目的とする。この目的達成のための第一段階として、本年度は9員環骨格形成のキ-ステップとなる光学活性セレノキシドとアリルシランからのプンメラ-型分子内アリル化反応のモデル反応を種々検討した。その結果明らかとなった点を以下に述べる。 (1)光学活性アルコール(lーメントール)より2段階の化学変換でα-フェニルセレノ酢酸エステルを合成し、次いでこの化合物の酸化を行ったところ、相当するセレノキシドが安定な結晶として単離された。セレノキシドはこれまでは不安定な化学種とされ、その単離例は極めて少ない。従って本反応の結果はlーメンチル基等による立体保護がセレノキシドを安定化する上で有効であることを示している。 (2)(1)で得られるセレノキシドに対しジクロロメタン中-78℃でルイス酸(三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体)また無水トリフルオロ酢酸とアリルトリメチルシランを作用させたところ、α-フェニルセレノ酢酸エステルのα-メチレン部へのアリル化反応が50%ほどの収率で進行した。また、この反応の副生成物はセレノキシドからの脱酸素により生成するセレニドであった。一方、上記のセレノキシドと2-トリメチルシリルメタクリル酸エチルを用いて同様の反応を行った場合には12時間の加熱還流をすることにより相当するα-アリル化生成物を中程度の収率で得ることができた。これらの反応はセレノキシドからのプンメラ-型反応により生成するセレノニウムカチオンへのアリルシラン類の求核攻撃により進行すると考えられる。以上の結果によりXenicinの9員環骨格を構築するためのモデル反応の条件がほぼ明らかとなった。 (3)現在ゲラニオールを出発原料とする分子内アリル化反応の基質の合成を検討中である。 以上の成果を踏まえ、来年度はゲラニオールを出発原料とする分子内アリル化反応の基質の合成とそれを用いる分子内環化反応の検討を行う予定である。
|