非ポルフィリン配位子となるベルピリジンおよびビピリジン骨格を基本としさらにオキサゾリン基も付加した配位子の合成に成功した。さらにルテニウム二価錯体とすることができ単結晶X線解析から四座型窒素系配位子になるものを発見した。紫外スペクトルとサイクリックボルタモグラフを同時並測し酸化還元状態においての動的性質を明らかにした。蛍光特性を発見することはできなかった。 特にビピリジン・ルテニウム錯体によるオレフィンのエポキシ化を検討したところ、エポキシ化合物の生成を確認するとともに、オレフィンの開裂反応が主に起ることを見いだした。オキサゾリン基に導入した不斉官能基による不斉誘導は見られなかった。不斉誘導が得られれば付加価値化合物合成への手がかりになる。 一方、ピリジン・ルテニウム錯体によるアルコールの酸化反応は定量的に起ることを見いだした。50%転化率における光学収率は20〜40%とそれほど高くなかったが速度論的分割がこのシステムで可能なことを示したといえる。 以上のようにピリジンおよびビピリジン-ルテニウム系において非ポルフィン系においても生体系類似の反応を誘起することが明らかになった。来年度は、もっと高度な合成触媒としての応用を試みる。
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