研究概要 |
イミンへの求核的付加反応の立体科学制御について検討した結果以下の事実が明らかになった。(S)-Ethyl lactateから得られるN-ベンジル-α-シロキシアルジミンにRLi(R=Bu,Me)を反応させたところ、threo体のβ-アミノアルコールが選択的に得られ、RCu,BF_3及びR_2CuLi・BF_3(R=Bu,Me)を作用させたところ、100%erythro体が得られることが明らかになった。さらに、(R)-ethyl mandelateから得られるN-トリメチルシリル-α-シロキシアルジミンにRLi(R=Bu,Me)を反応させたところ、threo体のβ-アミノアルコールが選択的に得られ、RCu・BF_3(R=Bu,Me)作用させたところ、100%erythro体が得られることが明らかになった。この様に、容易に反応試剤を変える事により同じ出発物質から立体化学の異なるβ-アミノアルコールを合成することが可能になった。以上のようにリチウム試薬を用いた場合と有機銅-BF_3試薬を用いた場合とでは、その選択性に著しい相違が見られたことは注目すべきである。リチウム試薬の付加はcyclic Cram modelで、一方有機銅-BF_3試薬の付加はFelkin-Anh modelもしくはopen chain Cram modelを考えることにより実験事実をうまく説明することができる。
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