研究概要 |
メソゲン基を有する6-(p-メトキシビフェニロキシ)ヘキシルメタクリレート(1)、及び6-(p-シアノビフェニロキシ)ヘキシルメタクリレート(2)のアニオン重合を試み,重合がリビング的に進行する条件を見いだした。その結果、分子量が制御され分子量分布が非常に狭いポリマーが定量的に得られること、さらにスチレンと(1)及び(2)からAB型、メチルメタクリレートと(2)からAB型に加え、BA、ABA、BAB型ブロック共重合体が任意の分子量と組成で合成出来ることを明かにした。いずれのブロック共重合体も分子量分布が極めて狭く(Mw/Mn<1.1)、新規の共重合体である。そして本研究の目的である液晶発現領域とポリマー構造の関係を系統的に調べるため、単独重合体では分子量を3千から3万まで、ブロック共重合体(相手モノマーはスチレン)では、分子量を5千から10万の範囲で組成を20-80%と変化させたポリマーを合成した。 単独重合体とブロック共重合体のDSC測定や偏光顕微鏡観察により、ポリ(1)ではスメクチックA、ポリ(2)ではネマチック液晶相が発現し、それらの発現温度領域は分子量、立体構造(Tacticity)やブロック共重合体の組成に大きく依存することを見いだした。さらにスチレンと(1)のブロック共重合体のラメラ状にミクロ相分離したミクロドメインは、温度を変化させながら小角X線散乱を測定すると、液晶温度領域でドメイン周期が温度と共に減少することを初めて明かにした。そしてそこで起こる構造変化について議論し、新しいモデルを提案した。一方、スチレンと(2)のブロック共重合体では上記の現象は観察されず、これは高分子側鎖型液晶のポリマー分子間の相互作用が極めて強いことが原因であると推定した。
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