研究概要 |
本研究の目的は、種々のラクタムのアニオン開環重合においてリビング重合を実現するための条件を探索し、その重合例を拡充して、分子量のそろったポリアミドを合成する一般的手法を確率することにある。 1.昨年度に引き続き、メチル置換基をもつβ-ラクタム,3,3-ジメチル-2-アゼチジノン(1)のアニオン開環重合を、5%の塩化リチウムを含むN,N-ジメチルアセトアミド中、ピロチドンカリウム塩およびラクタムのN-ベンゾイル誘導体をそれぞれ触媒および活性化剤に用いて行った。 2.購入した高速液体クロマトグラフ送液システムに概設の検知器を組み込んで、生成ポリアミドの分子量および分子量分布を調べ、触媒量、温度、時間などの重合条件の影響を明らかにすることにより、分子分散が1.1以下のポリアミドが生成し、しかもリビング系として取り扱える重合条件を見い出した。 3.メチル置換基をもつ別のβ-ラクタム,4,4-ジメチル-,および3-メチル-2-アゼチジノン(2および3)のアニオン重合も同様に行い、得られたポリアミドのMw/Mnの値で評価した単分散生は1>2>3の順に低下することが明らかになった。 4.これからのラクタムの成長鎖末端に相当するアシルラクタムを合成し、弱い求核試薬であるベンジルアミンとの反応^1H-NMRにより速度論的に解析して、ラクタム環の開環反応性を比較した。その結果から、1から得られるポリアミドの単分散性が高く、3から得られるポリアミドのそれが低いのは、それらのk_i/k_pの値がそれぞれ比較的大きいおよび小さいことに起因する推測できた。 1および2のリビングアニオン重合が完結した後、反応系直接p-ビニルベンジルアミンを加えて、アシルラクタム型成長鎖末端と反応させ、単分散性のp-ビニルベンジル型ポリアミドマクロモノマーを合成した。
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