研究概要 |
1)t-C_4H_9MgBrおよびt-C_4H_9/(n-C_4H_9)_3Alによるトルエン中低温での重合で得られるイソタクチックならびにシンジオタクチックポリメタクリル酸メチル(PMMA)リビングアニオンに臭化アリルを反応させ、得られた末端アリル化PMMAをヒドロボレーション反応で末端水酸基のPMMAに変換した。これらとメタクリル酸塩化物との反応で、メタクリレート基を有するマクロモノマーを合成した。 2)メタクリル酸メチルのリビンク重合に有効な2つの開始剤系((1)テトラヒドロフラン中1,1-ジフェニルヘキシルリチウムによる重合、(2)トルエン中t-C_4H_9MgBrによる重合)を用いて、1.で得たマクロモノマーとメタクリル酸メチルおよびエチルとのアニオン共重合を行った。^1Hおよび^<13>CNMR解析から、生成グラフトポリマーの枝の数、主鎖の重合度、枝ならびに主鎖の立体規則性を調べ、主鎖ならびに側鎖の立体規則性の制御されたグラフトポリマーが得られることを明らかにした。 3)2)で得られるポリマーのうち、主鎖と枝の立体規則性の異なるグラフトPMMAはアセトン中でのHuggins定数がクロロホルム中の値、あるいは、イソタクチックPMMAとシンジオタクチックPMMAの混合物の値に比べて非常に大きいことを見出した。これは、PMMAで知られているステレオコンプレックス形成が、グラフトPMMAでは分子内の主鎖と側鎖の間でも起り、分子環のコンプレックス形成が弱められ、粘度の濃度依存性が大きくなったためと考えられる。 4)マクロモノマーのアニオン単独重合を2)で用いた2つの重合系で行い、櫛型ポリマーを得た。主鎖の立体規則性は、MMA単位を重水素化したマクロモノマーを合成して同様な重合を行い、得られた重水素化櫛型ポリマーの主鎖単位の^1HNMR信号から求めた。その結果、(1)の重合系からはシンジオタクチックポリマーが、(2)の系からはイソタクチックポリマーが得られることがわかった。
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