1)t-C_4H_9MgBrおよびt-C_4H_9Li/(n-C_4H_9)_3Alによるトルエン中低温での重合で得られるイソタクチック(it-)ならびにシンジオタクチック(st-)ポリメタクリル酸メチル(PMMA)リビングアニオンにエチレングリコールメタクリレート(EGDMA)あるいはブチレングリコールジメタクリレート(BDDMA)を加えて、ジメタクリレートによる架橋部を核とする星型ポリマーの合成を試みた。EGDMAを架橋剤とする反応では、いずれのポリマーアニオンからも高分子量の星型ポリマーは得られなかったが、it-PMMAアニオンとの反応にジアミンなどの活性化剤を添加すると、30本程度の枝を有する星型ポリマーが得られた。st-PMMAアニオンの場合には活性化剤の効果は顕著には現れなかったが、BDDMAを架橋剤に用いると、枝の数100を越える高分子量の星型ポリマーが得られた。 2)BDDMAを架橋剤とする星型ポリマーの生成過程を、NMRによる末端基解析、GPC-LALLSによる分子量の経時変化から詳細に検討し、st-PMMAアニオンを用いた系では一旦生成した星型ポリマーアニオン間での反応で星型ポリマーの融合が起こり、より高分子量のポリマーに成長することを見出した。一方、it-PMMAアニオンの場合にはこのような融合が起こりにくく、アニオンの反応性によって星型ポリマーの生成過程に違いが生じることを明らかにした。また、後者の場合にも、反応温度を高くして、アニオンの反応性を上げることで融合過程が進行し、より高分子量の星型ポリマーが得られることを見出した。 3)粘度検出器を装備したGPCを用いて前年度の研究で得た立体規則性クシ型ポリマーの粘度の分子量依存性を調べ、重合度の増大とともに主鎖部分の収縮した星型構造から伸びたクシ型へ分子の形態が移ってゆくこと、ならびにその臨界分子量が立体規則性に大きく影響されることを見出した。
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