研究概要 |
本年度は、合成ポリアミノ酸の二次構造をより精密に制御するために、粒子化条件を変え、性状の異なる種々のポリアミノ酸粒子を調製し、得られた粒子をギ酸蒸気処理や加熱処理を行うことによってペプチド主鎖の構造転移を試みた。 (1)粒子化条件の温度,多孔化剤,撹拌速度などを制御することにより、粒径10〜200μm、細大細孔径500以下(糖の分子量として)のミクロスフェアが得られた。このような手法により得られたポリアミノ酸ミクロスフェアの二次構造は主にα-ヘリックスを形成していることがわかった。 (2)(1)で得られた粒子を、30℃で24時間、ギ酸処理することにより、粒子の二次構造がα-ヘリックスからβ-構造へと転移することが明らかとなった。 (3)(1)で得られた粒子を、220℃,20分間,加熱処理することにより、その二次構造がα-ヘリックスからβ-構造へと転移した。 本研究の目的の一つである合成ポリアミノ酸の二次構造をα-ヘリックスからβ-構造への転移は、ミクロスフェアをギ酸処理や加熱処理することにより可能となった。しかしながら、ギ酸処理によってβ-構造化したミクロスフェアは、細大細孔径および空孔率が著しく低下し、粒子の空孔特性を維持することができなかった。一方、今回新しく検討した加熱処理法では、ミクロスフェアはその空孔特性を損なうことなく、β-構造化できることがわかった。β-構造化技術が確立されたにことより、二次構造とアフィニティとの関係がより明確に関係付けられるものと期待される。
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