本研究では導電性高分子の前駆体としてチオフェン、チオフェン-アセチレンや、ピロールに絞り、それら3-位にメソゲン基や官能基を付与した側鎖型液晶高分子を合成し、その配向特性と導電性の関係を検討した。 ポリチオフェンやポリピロールは不溶不融のためにチオフェン環やピロール環の3位に置換基を導入することで、可溶性になることが知られているので、本研究ではそれら環の3位にメソゲン基の付いた誘導体を合成し、電解・酸化重合や重縮合によって高分子化した。 環の3-位にメソゲン基を有するポリピロール以外は溶融・可溶なポリマーであった。中でも、ポリチオフェン系は液晶性を発現することに成功した。チオフェン環の2、5-を臭素置換し、3-にエーテル結合を介してメソゲン基を導入した。重合条件によっても溶融性が大きく変化するので、比較的穏やかな重合方法である脱ハロゲン化重縮合法を用いた。また、ポリマーの分子量は重合触媒によって大きく変化した。本研究では重合触媒にNi(Cod)_2-ビピリジルを用いた場合、分子量7万以上のポリマーが得られた。 メソゲン基末端に極性基を持つポリマーはエナンシオトロピックな液晶相を示したが、末端が非極性基のポリマーは溶融はするが、液晶性は見いだされなかった。 ポリマーの導電率は未ドープ状態えは10-10s/cmで、ドープ後は10-5s/cmであった。また、液晶温度で熱処理したポリマーのドープ後の導電率は10-2s/cmまで向上した。以上の結果より導電率の向上にはポリマーの分子量と配向制御が密接に関係していることは明かにされている。
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