研究課題/領域番号 |
06651045
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
高橋 利禎 福井大学, 工学部, 教授 (30020184)
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研究分担者 |
佐々木 隆 福井大学, 工学部, 助手 (50242582)
櫻井 謙資 福井大学, 工学部, 助教授 (20126634)
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キーワード | 芳香族高分子 / 耐熱性高分子 / 熱可塑性ポリイミド / ポリエーテルニトリル / ブレンド / 高次構造 / 透過電子顕微鏡 / 小角X線散乱 |
研究概要 |
平成7年度は熱可塑性ポリイミドを含むポリマーアロイ(ブレンド)の高次構造、ポリケトンサルファいど(PKS)の構造と結晶化挙動及び新しい芳香族ジアミン、4,4'-スチルベンジアミンと無水ピロメリット酸より得られるポリアミック酸とポリイミドの構造について研究し次のような結果を得た。 (1)結晶性の熱可塑性ポリイミド(N-TPI)と非晶性の熱可塑性ポリエーテルイミド(PEI)の溶融ブレンドにおける相分離・結晶化挙動とラメラ晶の積層構造を主にDSC法と小角X線散乱法(SAXS)を用いて検討した。溶融急冷して得られる相溶した非晶試料を熱処理すると、熱処理温度に対応して相分離した非晶相(N-TPI+PEI)、結晶(N-TPI)と相分離した非晶相(N-TPI+PEI)、結晶と相溶した非晶相などの構造が発現するなど、複雑な相分離・結晶化挙動が観測された。また、N-TPIとPEIの相互拡散が遅いため、N-TPIが結晶化した試料においても、PEIはN-TPIのラメラ晶の間に存在していることが確認された。 (2)分子量の異なるN-TPIを過冷却度を変えて結晶化した試料のSAXS測定を行った。測定結果を1次元相関関数を用いる方法(Stroble)により解析し、長周期、結晶の厚さ、非晶相の厚さを評価した。一定の過冷却度で結晶化したN-TPIの長周期は分子量が大であるほど大きくなるが、これは非晶相の厚さが増大するためであり、結晶相の厚さは一定である等のことを明らかにした。 (3)PKSの変形中の結晶-結晶転移について広角X線回折(WAXD)法で検討した結果、変形や圧延により斜方晶が単斜晶に結晶転移することが確認された。なお、このような結晶-結晶転移は化学構造の類似したポリエーテルケトンを変形させても起こらなかった。 (4)トランススチルベンジアミンとピロメリット酸無水物よりジメチルアセトアミドを溶剤としてポリアミック酸(PAA)を合成した。得られたPAA溶液は光学的に異方性を示すが、それはPAA分子鎖が自己凝集しやすく結晶化したためであることを明らかにした。
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