研究概要 |
「研究目的・研究実施計画」に述べてある通り、Gellan Gum(ゲル研究会共通試料)水溶液では主としてCa^<2+>の影響を、またヒアルロン酸水溶液では極低周波領域での、それぞれ粘弾性の測定を、当研究室で開発し(本年度の科研費により改良し)たマグネチック・レオメータを用いて行うことを計画した。(1)Gellan GumではCa^<2+>濃度が0.5wt%程度では、保存温度・保存時間により決まる一定の振動時間の経過の後、外力の振幅が一定でも、振動の変異の振幅が減少する、negative thixotropyが観測されたが、0.1wt%以下では観測されなかった。この濃度領域に特徴的なことは、溶液の粘性は、ぞぞれの濃度に固有な温度(30〜40℃前後)の±0.5℃以内の巾で1〜2桁低下することが見い出された。粘性の低下する温度の逆数を、そのときの濃度への対数に対してプロットする、Eldridge-Ferry plot、ではこれらの点は直線上に乗り、勾配からの活性化エネルギーはほぼ20kcal・mol^<-1>であった。この現象が新しい転移に対応するものかどうかは明らかではなく、また温度に対して可逆的なものかどうかも含め、今後に残された問題である。(2)ヒアルロン酸水溶液については、周期を11,520秒まで拡張して測定が行えるよう回路の大幅な手直しを、本年度の科研費で求めたマイクロソフト社製AD-変換ボード、および新たに増設した横河電気(株)直流増幅器を用いて行った。複素コンプライアンスの分散曲線を用いた解析からは、180〜11,520病の範囲での力学的挙動は直列に瞬間弾性率(Gg)を付けた3-要素Voigt-modelで表わされることが分かった。これは極低周波領域で測定を行ったため、微小球の振動であるにもかかわらずrate of strainが小さくなったためであろうと推定される。分子量、濃度依存性については現在継続して測定を行っている。
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