研究概要 |
Gellan Gum(ゲル研究会共通試料)およびHyaluronic Acidのいずれも水溶液についての粘弾性を当研究室で開発したマグネチック・レオメータ)を用い,周期360〜23,040秒,温度10〜45℃の領域で測定した。Gellan Gumでは,(i)Ca濃度0.5%ではNEegative Thixotropyのおこること(ii)Ca濃度≪0.01%ではそれぞれの濃度に固有の温度で,低温域でSol⇔Gel転移が,高温域でHelix⇔Coil転移が観測されること,をいずれも新しく見い出し,報告することが出来た。光散乱から得られたデータを用いこれらの新現象をもとにGellan Gumの水溶液中における新しい分子モデルを提案した。ヒアルロン酸水溶液では23,040秒までの極低周波領域での測定が可能となり,Na型ヒアルロン酸では分子量200万,100万の二種類,濃度は1.0,0.75,0.5,0.25%で,またイオン交換カラムを用いK型としたヒアルロン酸では分子量100万,濃度0.75%でそれぞれ測定を行った。この結果非線形性が大きいといわれているヒアルロン酸で全濃度範囲についてほぼ単一のVoigtmodelで全挙動が表わせること,Cole-Cole plotでは指数β=0.725とすること,すなわちわずかな遅延時間の分布を考慮することにより、単一の円弧で表わせることが示された。K-型では同一の濃度,分子量のNa-型に比し,Gはあまり変化がなくηがほぼ二桁近く減少することが見い出された。これはNaイオンが水素結合助長的に作用するのにたいしK-イオンは水素結合破壊型であることに対応しているものと思われる。
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