研究概要 |
有機液体混合物の膜分離法の一つである浸透気化法や申請者らが考案した気化浸透法とこれをベースに改良した温度差制御気化浸透法に用いる高分子膜を(1)キトサン,(2)ポリジメチルシロキサン,(3)ポリ(トリメチルシリループロピン-1),(4)ジメチルシロキサンマクロモノマー共信号,(5)β-シクロデキストリン含有高分子から成膜条件を変え,物理的,化学的構造の異なるものを調製した。具体的には,(1)についてはN-アルキル基の炭素数の相違やアルキル化度の異なるもの,またジアルデヒド架橋度などから検討し,(2)については凍結感想法による成膜でキャスト液量,添加物量などが検討され,(3)については膜厚の影響が検討され,(4)については共重合体組成やマクロモノマー鎖長の影響が,(5)についてはβ-シクロデキストリンの含有量やマトリックス高分子の影響などが検討された。これらの膜の物理的,化学的構造がX線回折装置,密度測定装置,接触角測定装置,走査型,透過型電子顕微鏡などで明らかにされつつある。(1)〜(4)から調製された膜はアルコール水溶液の透過分離特性に,(5)からの膜は,有機異性体混合液(n-プロパノール/i-プロパノール,o-キシレン/p-キシレン)の透過分離に適用された。(1)膜については膜の水素結合の程度の重要性が指摘され,(2)膜については孔径と多孔度が透過分離に著しく関係し,(3)膜については透過種と膜との親和性が顕著であり,(4)膜については共重合体組成によりミクロ相分離構造の相違が著しく,(5)については含有量とマトリクスとの組み合わせが透過分離特性に重要に関連することが明らかにされた。また,それぞれの膜と透過法との組み合わせが,高分子膜による有機液体混合液の分離における性能に著しく影響するであろうことが明らかになりつつある。
|