熱分析、燃焼熱測定、燃焼速度測定および燃焼残留物の分析などを行って、硝酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、アルミニウム、マグネシウムおよび末端水酸基化ポリブタジエン(または、グリシジルアジドポリマー)などから成る固体推進薬の熱反応や燃焼反応の機構を検討した。 上述の実験の結果として、まず第一に、硝酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、アルミニウムおよび末端水酸基化ポリブタジエン系固体推進薬(A^3NPL推進薬)にマグネシウムを添加した固体ロケット推進薬では、大量の塩酸を放出しない無汚染の固体推進薬の組成を明らかにした。すなわち、この系では最初に含まれるアルミニウムおよびマグネシウムが酸化剤により酸化された、次に生成したアルミニウムおよびマグネシウムマグネシウムの酸化物どうしが反応してアルミン酸ナトリウムを生成した。最初の反応で生成する大量の塩化水素ガスはこのアルミン酸ナトリウムの生成後に残った酸化マグネシウムとの反応で除去される。バインダーを高性能のグリシジルアジドポリマーとした推進薬でも同様の結果が選られた。 さらに、上述の結果を確証するために、成分である酸化剤の硝酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウムと還元剤であるアルミニウム、マグネシウムおよびマグナリウム間の熱反応や燃焼反応について検討して、反応の温度や燃焼機構を決定した。
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