1.柔軟構造物の形状制御法の研究 太陽輻射圧などの外乱によって変形する柔軟宇宙構造物の形状を、構造上に配置したアクチュエータを用いて、所定の状態に復元する方法についての研究を行った。 (1)多点変位の計測データを用いた、構造物の形状と未知外力の最適推定について研究した。 (2)離散的に配置したアクチュエータを用いて、形状を最適に制御する方法について研究した。 推定および制御のアルゴリズムは、分布定数系モデルに基づいている。また、柔軟はりのテンドン実験装置を対象にした数値シミュレーションを行い、最適なアクチュエータ配置についての検討を行った。 2.レーザスキャナを用いた変位の遠隔計測法の研究 レーザスキャナとコーナキューブ(再帰反射プリズム)を用いた、構造物の変位の遠隔計測法について研究した。異なる傾斜角を持つ2面のレーザスリット光を同一軸回りに回転する、デュアルファンビーム方式のレーザスキャナを試作した。本計測システムにより、構造物上に配置したコーナキューブに対応する複数ターゲットの2次元変位を高速に精密測定することができる。直交型ロボットを利用した位置決め装置を用いて位置計測実験を行い、測定精度の検討を行った。 3.柔軟構造物の制御系設計法に関する研究 軌道上で建設される柔軟構造物は、そのダイナミクスを支配するパラメータの不確定性が高い。パラメータの変動を伴う柔軟構造物の制御系設計法としてロバスト極配置法を取り上げ、閉ループ系の条件数を小さくするフィードバック制御系の設計法について研究した。また、適応宇宙構造物の概念に見られるように、多くの制御用アクチュエータを備えた構造物では、アクチュエータの配置位置を適切に選択することが重要である。ロバスト極配置に有効なアクチュエータ配置を、効率的に選択する方法についての研究を行った。
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