研究概要 |
1)室内岩石削孔実験、2)ニューラル・ネットワーク(NN)による機械量検層データの解析システムの開発、3)現場実験用システムの構築,4)現場適用実験、5)複数孔の削孔データの用いた2次元地層構造推定システムの開発を行ない、小口径削孔機の機械量データによる検層の有効性、ならびにNN法による検層データの解析手法を確立した。各項目毎に、得られた知見を以下に述べる。 1.物性の事なる岩石を2層に組み合わせて実施した削孔実験により、岩種の違いはトルクや推力の平均値に違いとして、層間の空隙や傾斜はトルクの変動パターンに反映されることがわかった。この実験結果および岩石の切削理論により、機械量データの中でもトルクの推力の比や、トルクと1回転当たりの削孔速度の比が、岩層の変化や不連続面の有無を最もよく表すパラメータであることがわかった。 2.NNのアルゴリズムである適応共鳴理論(ART2)と逆伝播法(BPN)を階層的に用い、上述のパラメータを入力データにすることで、岩層境界、き裂分布の抽出が可能になった。 3.小口径削孔機に各種機械量検出センサを取付け、削孔中のデータをメモリカードに記録する現場計測用システムを構築し、その動作特性を確認した。 4.その現場計測用システムを用いて炭鉱の坑道内で適用実験を行なった結果、本システムにより削孔中の機械量データを十分収録可能なことを確認した。 5.得られた複数孔の機械量データを用いて、2次元地層構造を推定するシステムを構築した。、これにより空間的的な地層構造、き裂分布が表示可能になった。また、不連続面の傾斜を単一孔の検層データから推定するのは困難であったが、複数孔のデータを用いることにより、推定が可能になった。 しかし、き裂の間隙幅や小規模のき裂の検出は困難であり、適用の限界が明らかになった。今後、新たな手法を開発する予定である。
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