本研究は、地殻内計測における電気探査可視化情報とその評価に関して、平成6年度から2か年計画で実施された結果、以下の知見が得られた。 (1)制約条件下での最適な電極配列の選定では、見掛比抵抗のみでなく電界強度地下情報も導入して、より改良された感度特性を得た。 (2)合理的な初期条件の決定では必ずしもトモグラフィ手順通りではなく比抵抗疑似断面情報の有効利用が考えられる。 (3)不均質環境効果については、その影響が大きいのでさらに具体的なモデルを調べ比抵抗のコンストラストやその複雑性についての見通しが立った。 (4)探査範囲の拡大については、電極配列特性を感度解析に基づきその基礎的考え方を明きらかにした。 (5)不連続性の解消については、全く新しい発想で理論的な感度合成分離式とそのモデル検証を実施して、良好な結果が得られた。 (6)異方性についての感度指向特性を解明した。 (7)比抵抗構造可視化における解の一義性について、電極配列効果、有限要素分割効果、初期条件効果等について合理的な検討基礎事項が分かってきた。 (8)電気的手法による地下情報抽出・強調及びその予測設計が行えるようになった。 (9)3次元効果が容易に検討できるようになった。 (10)電気地下情報可視化の信頼性を向上させる支援単元とフローが明かになった。 等、いくつかの成果から、比抵抗モニタリング等への資源環境分野での有効利用と高度化支援要素技術が期待できる。
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