研究概要 |
本年度は昨年度に引き続き、供試材料(寸法:50×50×20mm)を変えて平面爆轟波によるスポール破壊実験を行った。すなわちアルミ合金AL2024に比べ衝撃インピーダンスの大きな軟鋼SS41と純銅を対象として、爆薬PETNの厚さとスポール剥離層厚さの関係を実験的に求めた。純銅の実験ではAl2024に比べ剥離層が薄いことが分かった。また回収時の変形が大きく計測値のバラツキが著しかった。次にSS41の実験では、他の材料と同じく薬厚の増加とともに剥離層が薄くなる傾向は同じであったが層厚の低下割合は非常にわずかであった。またき裂の開口量が少なく、薬厚7.5mm未満ではスポール破壊は認められなかった。以上の実験結果に合致する各材料の破壊常数の設定を試みた。設定手順はAl2024の場合と同じく、時間依存型破壊則を組み込んだ差分解析コードで破壊常数を変えながら実験の数値シミュレーションを行うものである。この結果、数値シミュレーションが実験とほぼ類似の傾向を示す破壊常数を定めることができた。 次に、スポール破壊防止手段として用いられているモーメンタムトラップ(MT)の効果を実験と数値シミュレーションによって確認することを試みた。すなわちAl2024供試体の自由表面に接して同一材料の表層体を設置し、単層の場合と同様の破壊実験を行った。表層体の厚さを1,2,5mmと変えて実験を行った結果、1mmの場合を除き、供試体のスポール発生を防止することを確かめた。また数値実験でも同様の結論を得た。 衝撃波による材料の高速破壊として、固体に円筒状の収束波や発散波が作用する場合も考えられる。これらの衝撃波についても線爆を用いる生成方法を確立することができた。
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