1.体細胞胚の乾燥耐性の機構を解析するため、Lea遺伝子に着目しナタネのLea遺伝子Lea76をCaMV35Sプロモーター下につないだキメラ遺伝子を作り、タバコとナタネに遺伝子導入した。タバコで6個体、ナタネで2個体の形質転換体が得られ、それらの個体についてNaCl耐性をリ-フデスク法により調査したが、耐性は得られなかった。タバコの形質転換体についてはT1植物を得て、その実生の段階でNaCl耐性を調査したところ、それらの中で若干のNaCl耐性がみられるものが見出された。 2.ナタネのゲノムライブラリーからLea遺伝子を単離し、プロモーター領域の解析を行った。その結果、Lea遺伝子のプロモーター領域には、TATAボックスの上流にABAによって誘導される遺伝子においてみられる共通配列ABRE(ABA responsive element)領域が存在することが明らかとなった。 3.乾燥系人工種子としての可能性をはかる目的で、乾燥胚の貯蔵性について調査を継続して行った。その結果、-80℃の貯蔵条件下で3年間植物体再生能を保持していることが明らかとなた。また、乾燥胚は液体窒素による凍結保存も可能であることが明らかとなった。一方、糖検出試験紙テステープを用い乾燥胚から浸出してくる糖の有無を検出することで乾燥胚の生死の判断を試みたところ、乾燥感受性胚のみ糖が検出され乾燥胚の生死を簡便に判断できることが明らかとなった。
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