研究概要 |
根量の異なるバレイショ2品種(農林1号とコナフブキ)を深さ50cmの特性ポットに栽培し、開花始めから2週間,毎夕方ポットの水位を下から10cmの深さまで給水する適湿区,その1/3量をポット上部から給水する下層乾燥区,および1/3量をポット下部から給水する上層乾燥区の,3水分処理を行った。処理期間中にダイナゲージで茎流速度を,またポーラスカップ製のテンシオメータで深さ15cmと35cmの土壌水分圧を測定した。処理終了直後に葉,茎および塊茎の乾物重ならびに葉面積,土層10cm間隔での根乾物重を測定した。結果の概要は,下記の通りである。 1.下層乾燥区では上層の,また上層乾燥区では下層の根の生長がそれぞれ旺盛となり、水分のある土層での根の生長が相対的に促進されることが明らかとなった。 2.上層,下層のいずれかの乾燥区でも適湿区に比べ地上部の生長が著しく抑制されたが、下層乾燥区に比べ上層乾燥区の方が抑制の程度が大きく,さらに両区の差異は根量の少ないコナフブキでより顕著に認められた。 3.土壌水分圧では,乾燥区と適湿区との差異が明瞭に認められた。また両乾燥区で比較すると,上層乾燥区に比べ下層乾燥区の方が,いずれの深さでも乾燥の程度が大きかった。 以上のことから,当初の予想通り,根の水分吸収能力は土壌の深さによって異なることが示唆され,次年度は圃場条件下で検討する。なお,茎流速度については現在解析中である。
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