研究概要 |
平成8年度の研究計画では,1)主として青森県と秋田県について,シロアズキ在来品種の栽培地分布の概況の把握とそこでの現地聞き取り調査を行い,2)生育・収量形質調査においては,栄養成長と生殖成長の重複性と熟期の斉一性の低さについて,個体のレベルから検討することであった. その結果,1)青森県津軽地方で種子を5点収集したが,いずれも栽培歴や種子由来が不明確であり,さらに,栽培の規模もきわめて小規模であった.2)秋田県では,東北地方でも特異的にシロアズキの栽培地分布が残されており,聞き取り調査などから推察して,昭和30年代からの東北地方での改善事業の推進による野菜産地の形成など,換金作物栽培の地域構造の形成に遅れをとってたやことが,逆にこの作物を残す結果になったと考えられた.3)生育・収量調査の結果では,生態型関連諸形質は,生殖成長期間の長さに加えて栄養成長期間や開花期間とも強く関係し,個体内では熟期の斉一性に対して,栄養成長と生殖成長の重複性が直接かかわっているのではなく,栄養成長(節数の増加)の継続性による開花期間の長期化が斉一性など,形質変異と連動していることが考えられた.
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