単なる存在としての緑や見るためだけの緑ではなく、活動を通して親しむための自然を親自然緑地と定義し、その現状や位置づけを知ると同時に、その系統的配置について、首都圏でのケーススタディを通して検討を行った。系統的配置の検討に際しては、様々なタイプの自然とふれ合う(親しむ)活動のための場を、活動パターンに応じて、居住地周辺に効率よく配置し組織化していくことを考え方の基本とした。 その結果、以下の諸点から明らかとなった。(1)身近な自然に関する研究が、人々とのふれ合いと諸生物の生息空間としての豊かさの二側面で増加してきている。(2)また、実際の親・自然緑地は数haの小規模のものと、数十haにおよぶ大規模のものとに二極化した形で都市周辺部に整備され、増加してきている。(3)一言で「自然とのふれ合い活動」と言っても多様な内容を含んでおり、人々が行っている親自然活動は、「観察会型」「名所・遊び型」「間接・製作型」「散策・ウォーク型」に4大別される。(4)こうした活動区分と、立地の自然的および都市的ポテンシャルとを勘案すると、「自然観察地保全エリア」「自然観察拠点形成エリア」「自然遊び促進エリア」「特定自然ふれ合いエリア」「自然環境回復促進エリア」「山間ハイキングエリア」「都市・近郊散策エリア」の7つの地域類型に区分することができた。
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