研究概要 |
(1) DIBA法は簡便で検出感度も高く、ELISA法とともにユリウイルス(LSV,TBV-L,CMV)の検出に十分適用できることがわかった。(2)ほ場で生育中のユリを調査し、約70%のユリがLSVを保毒し、重複感染のユリもあった。LSVを単独に保毒しているユリは視覚的に病徴がほとんど認められなかったが、LSVとTBV-LあるいはCMVに重複感染しているユリは葉にモザイク症状、退緑条斑、葉や花の奇形化を示し、茎の短いものもあった。(3)りん片培養によって発達した子球の多くはLSV,TBV-L,CMVを単独または重複して保毒していたが、‘カサブランカ'やカノコユリではLSVの保毒率が39%以下になった。(4)子球の茎頂組織およびりん片上に発達中の子球原基の頂端分裂組織を摘出して培養した場合、活着率は前者は70%以上、後者は80%以上となった。(5)免疫組織化学的観察により、りん片上で発達中の子球原基周辺組織にはLSVは全く観察されず、子球の茎頂組織周辺では第2葉原基および茎頂組織基部付近にウイルスの分布がみられた。(6)茎頂組織培養および不定芽培養で多くのウイルスフリー(陰性)子球が得られ、ユリやウイルスの種類により除去率が異なった。(7) LSVとCMVに重複感染した子球を35℃で10日以上培養すると、子球は球状ウイルスCMV対して陰性となり、ひも状ウイルスLSVに対しては陽性のままであった。熱処理した子球の茎頂組織を培養すると、無処理のものより陰性子球数がふえた。(8) ELISA法で陽性および陰性子球のりん片ウイルス濃度を調査した。陽性子球では、品種によって内部に着生するりん片でウイルス濃度が高い場合と、逆に外部のりん片で高い場合とがあった。
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