研究概要 |
本研究では、葯培養及び花粉培養によってセリ科植物(ニンジン、ウイキョウ、セルリ-、パセリ、ミツバ)の半数体を作出するための培養条件を検討した。各植物体は1992、1993年の秋にビニールハウスに播種し、越冬後の5〜7月に開花した株から条件にあった令の花粉を含む蕾を採取し、培養に用いた。 葯培養:B5,1/2MS,MSの3種類の基本培地に2,4-D,BA,ショ糖、ゲルライトを種々の濃度で添加した培地で1〜2か月間培養した。胚様体が直接形成されたのはニンジンだけで、しかも四分子期の花粉からのみであった。一方カルスは、全部の種で形成され、ニンジン、ウイキョウ、セルリは四分子期の花粉からのみ、パセリ、ミツバは一核期の花粉からのみ形成された。ホルモン無添加のMS培地上で培養を続けることにより、胚様体は植物体に生長し、カルスは植物体を再分化した。 花粉培養:花粉はB5,NLN,1/2MSの基本培地に2,4-D,BA,ショ糖を添加した培地に、花粉が2.5×10^3/mlの、密度になるように植え付け、暗黒下で培養した。ニンジンは5か月後コロニーを形成した。セルリ-、パセリ、ミツバは3か月後に球状胚およびカルスがを形成した。ニンジンのコロニーは、ショ糖5%、ゲルライト1%、2,4-D、BAを添加した1/2MS培地で培養すると、4〜5か月後に球状胚やカルスを形成した。しかしどの種でも、胚やカルスの形成率が非常に低く、植物体再生には至らなかった。
|