研究概要 |
ペラルゴニウム(Pelargonium × domesticum),ニオイゼラニウムおよびゼラニウムのアントシアニジン分析を行った結果,ニオイゼラニウムからペラルゴニウムと同じ6種類の色素が検出されたが,同時に有する色素は2〜4種類で,ペラルゴニウムと同様にマルビジンを常にふくんでいた.ペラルゴニウムの祖先種であるとされるP.cuculatumやP.grandiflorumもマルビジンが主体であり,ペラルゴニジンは含まれていなかった.以上のようにペラルゴニウムに見られるペラルゴニジンは調査した野生種には見られなかったが,赤色の花色を持つP.fulgidam等が祖先種の一つではないかと推定された.一方,ゼラニウムでも6種類の色素が検出されたが,他グループでは比較的多量に含まれているデルフィニジンが少なく,常に含まれている色素はシアニジンであった.また,他種には存在しないペオニジンが主体のものも見られた.今後は祖先種と思われる種に絞り,配糖体を持つアントシアニンの形でより詳細に調査する予定である. ペラルゴニウムとニオイゼラニウムの交雑親和性と調査したところ,種子親にペラルゴニウム,花粉親にニオイゼラニウムを使用した場合,高い親和性が見られたが,逆交配ではほとんど結莢せず,雑種は獲得できなかった.また,得られたF_1はほとんどが不稔であった.ガスクロマトグラフを用いてこの両グループの精油成分を調査した結果,両者間の類縁生が推定された.
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