本研究は、畦畔草地が持っている景観構成や生物種の多様性維持機能に関して、畦畔草地の今日的役割を評価して、適正な管理手法を示すことを目的とする。このために、平成7年度は、以下のような調査研究を行い、植生管理の手法について取りまとめた。 1.畦畔草地の現存量の季節変化と、刈取り後の再成長量の測定。 兵庫県多紀郡今田町の山間部に位置する伝統的な刈取り管理が行われている水田畦畔において、1m^2の調査枠を設定し、5月から12月まで現存量調査を行った。現存量は6月以後急激に増加し、8月には生育期間中の最大現存量である200g・m^<-2>に達し、10月以後、夏草の生育停止によって減少した。刈取り後の再成長速度は、6月、7月が比較的大きく20g・m^<-2>で以後次第に減少し、夏植物の生育期間の初期の段階での再生力が大きかった。 2.草地の刈取り管理に関する現地試験 大阪府富田林市の石川河川敷きにおいて、草地の刈取り試験区を設定し、刈取り後の群落変化にを調査した。毎月1度刈り取り区、隔月刈取り区、年1回刈取り区(4月刈、5月、6月、7月、8月、9月、10月)、無刈取り区を設けて、群落高、植被率、各出現植物の生育高および被度を調査した。群落高を低く保つためには、少なくとも隔月に刈り取る必要があることがあることが分かった。 3.植生管理 畦畔の埴生を在来野草で、造成するための方法や植生管理の指針について取りまとめた。
|