研究概要 |
今年度は,主として花粉媒介性野生ハナバチ類について研究を行った.日本産の種約300種についての基礎的データのうち文字データ(分類,分布,訪花植物,発生期)を調査し,データベース化した.また,標本の画像データについては約200種を光デイスクに記録した.来年度はこれらの2つのデータをリンクさせ,分類同定システムを実行したい. 分類学的研究については,7研究を行い,うち4つが印刷になった.コハナバチ科ハナバチについて,日本産のLasioglossum(Evylaeus)lucidulum subgroupについて再検討を行い,3種の新種を記載しヨーロッパをはじめとする旧北区産の種との比較をおこなった.またこれとは別に日本産コハナバチ科ハナバチ3種の新種を記載した.ヒメハナバチ科ハナバチについて,日本,中国,朝鮮半島の材料を用い,さらにヨーロッパ産の種を加えて広く旧北区産の種について亜属ごとに分類学的再検討を行った.今回研究を行った亜属は,Simandrena,Calomelissa,Hoplandrena,Holandrenaの4亜属である.すでに印刷になったSimandrena亜属では,東アジアから10種を認め,3種を中国から新種として記載し,旧北区産の大部分の種を加えて検索表を作成した.また,ハキリバチ科のOsmia属ハナバチについて,日本から記載された1種Osmia imaiiが中国からすでに記載されている種と同一種であることを確認し,新同物異名として発表した.
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