研究課題/領域番号 |
06660057
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
岩井 久 鹿児島大学, 農学部, 助手 (90183194)
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研究分担者 |
松添 直隆 鹿児島大学, 農学部, 助手 (50239018)
荒井 啓 鹿児島大学, 農学部, 教授 (20012015)
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キーワード | トマト青枯病 / Pseudomonas solanacearum / Solanum toxicarium / トマト根こぶ線虫病 / 抵抗性 / 接木 / 細菌病 / 萎凋病 |
研究概要 |
栽培トマトをナス科植物Solanum toxicariumに接木すると、青枯病および線虫病に対する複合病害抵抗性が付与される。両病原体は土壌中で根圏より感染し得るが、ここでの抵抗性が、初期浸入の際に発現するのか、あるいは浸入後の植物体内における増殖抑制にあるのかを明らかにするために以下の実験を行った。感受性トマト(品種:強力米寿)、S.toxicarium及び両植物を穂木、台木として用いた2種類の接木植物にトマト青枯病細菌(Pseudomonas solanacearum)を接種し、それぞれの植物に外部病徴、茎組織の内部状態、細菌の増殖を、肉眼、光顕および電顕で観察した。接種方法は、抵抗性発現の場を明らかにする目的から、従来の断根接種法に加え、両植物の茎接合部の下方1cmに、菌泥を穿針接種した。その結果、“S.toxicarium台木-トマト穂木植物"に断根接種した場合には、感染が認められなかったが、同植物の台木に穿針接種した場合には、接種5日後に、処理した9個体のうちの4個体の穂木トマトに萎凋症状が認められた。また、“トマト台木-S.toxicarium穂木植物"の台木トマトに穿針接種した場合は、接種3日後に、処理8個体のうちの4個体の穂木S.toxicariumに、トマトに類似した萎凋症状が認められ、萎凋の認められなかった個体においても、茎内部には褐変が生じていた。さらに、接木処理を行っていないS.toxicarium単独の茎に穿針接種した場合にも、萎凋や内部褐変が認められ、褐変を呈した茎組織の光顕、電顕観察により、細胞間隙での細菌の存在が認められた。これらの結果により、S.toxicariumの青枯病抵抗性は、根部組織において発現するものと推論した。今後は、線虫に対しても同様の実験を行い、複合抵抗性の機作を明らかにしたい。また次年度は、白葉枯病抵抗性イネ系統、白葉枯病細菌ならびに疑似紋枯病菌の相互作用に関する研究をも行う予定である。
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